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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1077号 判決 1980年11月27日

控訴人

新建設株式会社

右代表者

東道男

右訴訟代理人

石葉光信

外二名

被控訴人

破産者山芳建設株式会社

破産管財人

村田寿男

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実《省略》

理由

当裁判所は、原審と同様、被控訴人の本訴請求は理由があると判断する。その次第は、次の判断を付加するほかは、原判決理由の説示と同一であるからこれを引用する。<中略>

控訴人は、控訴人には他の破産債権者を害する意思はなく、且つ本件下請工事代金の支払を受けるのと引換えにそれに相当する完成した工事部分の所有権を移転したから右支払を受けたことによつて破産会社の財産を減少させてはいない、と主張する。しかし、破産法七二条二号によるいわゆる危機否認においては、支払停止後の危機状態下において特定の債権者に対して為された弁済は、それが破産的平等を破る偏頗行為であるという理由によつて否認の対象となるのであるから、弁済を受けた債権者に他の破産債権者に対する害意のあること、ないしその弁済が破産者の財産を減少せしめるものであることは、いずれも同号による否認の要件にはあたらないと解すべきである。

よつて被控訴人の本件請求を認容した原判決は相当で、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(杉田洋一 蓑田速夫 松岡登)

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